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相談役、たけるくん!

平凡君がチワワ君を助けて転入生とエンカウントするだけのお話

王道学園に所属する平凡男子、やすながたけるは、一般生徒たちの相談役をしている。
相談に乗るうえでいろんなひとたちに好かれていく…
そんな短編集。

​ジャンルタグ

カワイイ系の攻め, チワワ系×平凡, 王道学園もの, 転入生攻め

地雷要素

ざわざわと騒がしい食堂に保永は足を運ぶ。今日の昼食は何にしようか。ハンバーグなんてどうだろうか。そう考えながら軽快に歩みを進める。ふと、気づく。今日は特に騒がしい、何事か起きているのではないだろうか。そう感じた保永は人だかりの中に特に密集した集団を見つける。あの辺りは生徒会・風紀委員会専用エリアの入口だ。
「ごめんね、ちょっと通るね。あ、ごめんなさい、ちょっと通ります。」
周囲に断りを入れながら集団に近づいていくと状況がわかる。
「だ、だからね。そこは、役員の皆様が落ち着いて食べられるように作られた席だから、和師君は一般席で食べよう?」
「え!?なんでだよ!みんなが良いって言ってるのに!」
かわいらしい生徒二人が言い争いをしている。一人のそばには生徒会長さまと書記さま以外の役員が勢ぞろいしている。もう片方は、確か生徒会長さまの親衛隊に属する子だったはず。ルール違反に耐えられなくなって注意をしたらしいことだけわかる。
「なんでそんな意地悪いうんだよ!」
「そ~だよぉ、ぼくらが良いって言ってるの。君が口出しすることじゃなくなぁい?」
会計さまは、親衛隊のかわいい子の意見に文句があるらしい。言われた子も委縮してしまい俯いた。
一人と一組の間に波風が立つ。しかし相手はもう消沈しているにもかかわらず、すっと睨み続けるというのはどういったことか。保永は事態を混乱させないよう見守っていたがこれ以上看過できないと足を一歩前に出す。
「もう意気消沈している彼を、いつまでもにらみつける必要はないはずですよ。皆さん早く行かれるところへお行きになってください。」
そういうと役員さまたちは気まずそうにエリアへと入っていく。その前に、と役員に庇われた転入生へ声をかける。
「先ほど言われた注意は、あなたを守るものでもあるんですよ。彼らには人気がある。それだけならあなたのその態度も問題ないです。けれどこの学園の一部の生徒は、あなたのように分け隔てなく接することへ嫉妬心が沸いてしまいます。あなたが入ろうとするエリアが役員さまように作られているという事実を軽んじてしまうと、あなたにも危害が及びますよ。」
ぽかんと理解したような、していないような、そんな顔で和師はこちらを見る。
「ご自分を大事にするためにも、ルールは守りましょうね?」
にこりと頬がすこし赤らみながら微笑む。次の瞬間には和師は役員に連れられエリアのほうへ入っていった。その姿を呆れたように見つめた後、慈愛に満ちた目でハンカチを渡す。本人も気づかぬうちに涙が溢れているようで、渡されたハンカチをぽかん。と見つめる。保永は渡したハンカチをもう一度受け取り目元を優しくふく。
「僕は、あなたの行動が沢山の生徒の思いを代弁してくれたと思ってる。それは、とてもできることじゃないよ。だって、だれもが言いたくても言えなかったことでもあるんだから。あなたは何も間違ったことは言ってない。憤ることなくやり遂げたんだからとっても尊敬する。」
そう言い彼の頭を撫でると彼はいまだに潤む瞳をこちらに向ける。その姿は本当に愛らしくて、守れたであろうことにホッとする。かわいいものは貶されるべきではないのだ
「や、保永君・・・、あ、ありがとう。照れるから頭撫でるのやめてくれないかな。」
そう言い頬を赤らめる。その姿を見て保永はその姿とは似つかない艶麗な笑みを見せる。

その笑みで集まっていたギャラリー含め顔をほてらせた。

笑みも収め、保永は
「さあ、みなさん。ご飯を食べましょう。時間が無くなっちゃいますよ。」と声をかける。
「あ、あのさ、保永君。今日は僕と一緒にご飯食べよう!」
「いいよ。食べようか。」
そう言って二人で席に着き、保永はハンバーグ定食を頼んだ。

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